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もう会期は過ぎてしまったので恐縮ではあるが、先週、目黒区美術館で開かれていた写真家・石内都さんの展覧会へ行ってきた。 タイトルは<ひろしま/ヨコスカ>−。 今回、彼女は、被爆した人たちが着ていた衣装を何点も撮影して作品にした。そう聞いて、なんだか見てみたくなったのだが、ここに至るまでの彼女の写真家としての過程が年代ごとに展示されていて、予想以上に深い感銘を受けた。 育った横須賀のごみごみした風景から出発し、やはり生活感溢れる汚いアパートや旧赤線街の建築を撮った彼女だが、40代に入る80年代後半に、自分と同じ1947年生まれの女性たちの手足や爪を写した『1・9・4・7』を発表。 「Housewife」「Pub Manager」などの表記とともに、いろいろな女性の手足の皮膚の擦り切れ方やかさつき、皺などの年輪を写しとっている。 これらの作品群が、さらには事故や手術、やけどなどで傷ついた体の部分を、性別を越えて写す『Scars(傷)』という作品群へと発展。 傷なんだけど、美しい写真たちだった。 傷を負った部分の皮膚が、その次に母親の遺品を写した作品群の薄いシミーズ(=スリップのことね)などの布の陰影にも似通っていて、傷なんだけど織物のようにきれい。 引きつれた傷や、40代女性のそれまでの生活が年輪となって染みついたような手足など。 あるいは被爆者の衣服や、死んだ母親の人生をも髣髴とさせる遺品たち。 それらの決してきれいじゃないはずのものが、アーティスティックに写真の中に切りとられ、写しだされていることを、息を呑むような思いで見つめた。 傷や汚れを堂々と見せることが、アートになる。 または、傷をどのように見せるかが、芸術表現のあり方なのか? そのようなことを思った時間でした。 石内都さんの写真集は20冊ほど出ていますから、気になった方は探してみてください。 |
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